リウマチ治療で大切なこと

関節リウマチの治療を受けている方の中には、症状が改善されないと不安に感じている方もいらっしゃることでしょう。このページでは、関節リウマチ治療成功の5ヵ条と、新聞やインターネットなどで目にする民間療法・サプリメントについて、リウマチ専門医の立場からご説明いたします。お役立てていただければ幸いです。

関節リウマチ治療成功の5ヵ条

第1条 相談はリウマチ専門医へ

専門外の医師からすると、関節リウマチや膠原病などの免疫疾患は「なるべく手を出したくない」疾患だそうです。免疫疾患は専門性と経験が非常に重要な分野のため、専門外だとよく分からず治療が難しいのです。

またこの分野は、まさに日進月歩で、昔の治療法がどんどん見直され、考え方も変化しています。そのため、治療を成功に導くには、日々このような動向に注目し、情報を集めている専門医のもとを、いかに早期に受診するかが鍵となるのです。

第2条 副作用を怖がりすぎない

最近の医療は、治療前にそのメリットとデメリットを説明した上で行うのが常識です。特に抗リウマチ薬や生物学的製剤は副作用もあるため注意が必要です。ところが、この副作用の話に非常に敏感になり、内服を勝手に中止したり、なかなか治療に同意されない方もいらっしゃいます。

その結果、医師が綿密に練った治療計画が無に帰してしまったり、せっかくの貴重な治療時期を逃したりしてしまいます。これでは治療効果は得られません。

第3条 通院先を頻繁に変えない

通院先を頻繁に変えることを「ドクターショッピング」といいます。抗リウマチ薬の多くは効果が出るまでに2~3ヵ月近くかかるので、この間に不安を感じてしまうのか、関節リウマチの患者さまの中にはこのドクターショッピングをされる方が少なからずいらっしゃいます。

しかし、これをされるとその間は治療がまったく進みません。関節リウマチは早期診断し早期治療を行うほど寛解導入の可能性が高まるというのに、みすみす貴重な治療時期を逃してしまうことになりかねません。専門医に通院し始めたら、じっくり腰を据えて病気に向き合い治療に臨むことが大切です。

第4条 勝手に自己判断しない

治療が順調に進むと、症状は改善し、うまくいくとほとんど自覚症状がなくなって検査データも正常化する、いわゆる「寛解」状態になります。この寛解が関節リウマチ治療の目標なのでとても喜ばしいのですが、中には「治った」と自己判断して通院や内服をやめたり、勝手に減量したりする方がいます。

関節リウマチはいったん寛解してもその後再燃することも多く、内服を止めてしまったがために再燃し、かえって以前より病気の勢いが増してしまうケースもあります。自己判断は非常に危険です。

第5条 民間療法に手を出さない

科学的根拠の乏しい民間療法は、真剣に関節リウマチを克服しようとするなら手を出さないほうが賢明です。多額の費用を投じることによる経済的損失も甚大ですが、それより大きいのは時間的な損失です。

民間療法に手を出している間に、発症直後の早期治療にあてるべき貴重な時期を逃してしまいかねません。これほど大きな損失はありませんし、取り返しがつきません。

サプリメント・民間療法について

関節リウマチを患っていると、多くの人が心配してくれます。そして決まって現われるのが、サプリメントや民間療法を熱心にすすめてくる人達です。また、新聞やインターネットなどにも多くの民間療法が広告を出しており、どうしても目が行くこともあるでしょう。

民間療法ではよく「治った」「克服した」といって経験談を記事に載せて宣伝しています。しかしよく見てみるとわかりますが、実際にその方法や健康食品が効いたのかどうかの科学的検証はなされていないのです。「医師が学会で報告した」などと書いてあっても、学会での報告は基本的に自由に行えるので、報告しただけでは科学的検証がなされたとは認められませんし、何の効果の保証にもなりません。

廣田浩一院長

サプリメントについても、それだけで関節リウマチがよくなるという科学的根拠は見当たりません。真剣に関節リウマチを克服しようとするなら、どちらも手を出さない方がよいでしょう。

民間療法やサプリメントなど効果のよくわからないものに手を出しているうちに、関節リウマチはどんどん進行してしまいます。発症直後の貴重な時期を逃さないためにも、専門医のもとで治療を受けましょう。


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